◆サラシア属植物について
サラシアは、スリランカやインド、東南アジア、ブラジルなどの熱帯地域に広く自生する、デチンムル科サラシア属植物の俗称です。サラシアは、インド、スリランカ、東南アジアにおいて、糖尿病の特効薬、リュウマチ、淋病、皮膚病、月経困難、抗炎症、強壮、などの伝承薬物として、数千年前から、アーユルベーダ伝承医学に用いられています。サラシア属植物は、約120もの種類が確認されていますが、伝承薬効の文献を調べた結果、最も多く薬用に用いられてきた種類は、『Salacia chinensis サラシアキネンシス』であり、その次に多く用いられていた種類は、『Salacia reticulata サラシアレティキュラータ』、『Salacia oblinga サラシアオブロンガ』となっています。
日本では、『サラシアレティキュラータ』と『サラシアオブロンガ』の2種類がよく研究対象にされていますが、サラシアは副作用のない天然素材でありながらも、主成分である『サラシノール』、『コタラノール』が、市販されている糖尿病治療薬『アカルボース』、『ボグリボース』に匹敵する、強いα-グリコシターゼ阻害活性を示すことが確認されています。サラシアを食前に服用した後、約90分の間、体内が糖を吸収するのを約30%阻害します。吸収されなかった糖は、腸内の善玉菌のエサとなり、24~72時間かけて、消化管内で作用し続け、整腸と同時に、NK細胞などの免疫関連遺伝子の発現も増加し、免疫力の向上にも活躍します。そして、サラシアの『マンギフェリン』というカテキン類にあたる成分は、肝臓や、脂肪細胞における脂質代謝分解作用と、強い抗酸化作用も確認されています。サラシアは、ダイエットや糖尿病対策だけではなく、体の芯から健康と美を導く、優れた天然素材です。サラシアの効能と成分について解明すべく、日本での研究が始まってまだ10数年ですが、日々、素晴らしい研究結果が報告されています。それらのデータは、様々な研究機関がネットでも知らせていますので、是非、ご覧になってみてください。
◆日本国内で流通している代表的な種類
「サラシアレティキュラータ(=コタラヒムブツ)」
主な生息地はスリランカ。安定した成分や効能が高く評価されている為、需要が多い。しかしながら、スリランカは土地が狭く、大量栽培ができる環境とは言えない為、国外へ大量に輸出ができない背景にある。その為、近年では、インドでの栽培も試みられているが、13~17年育ったものが良いとされる為、まだまだ、希少で貴重なハーブという位置づけには変わりがない。そのような「サラシアレティキュラータ」は、広大な土地で大量栽培されている「サラシアオブロンガ」の1.5~2倍の値段で市場取引されている。サラシアの中でも、やや高嶺の花?的な存在である。木の臭いがするが、嫌な臭いという程ではない為、そのまま煎じて飲んでも抵抗がない。味に関しては、やや苦味と渋みが感じられる。『サラシアレティキュラータ』については、食品における有効新素材として、農林水産省総合食料局が食品産業振興の為に推薦をしている素材でもある。また、富士フィルム社の「メタバリア シリーズ」は、この『サラシアレティキュラータ』の効能の発見を機に、開発されたダイエットサプリであり、ロングセラー商品になっている。この濃い茶色の年輪が、スリランカ産サラシアレティキュラータ=コタラヒムの強力パワーの証です。
「サラシアオブロンガ」
主な生息地は、インド、タイ。広大な土地に大量に栽培されている為、コタラヒムブツより安価に入手できるというメリットがあり、私たちの市場で一番多く使用されているサラシアでもある。比較的安価である反面、成分や効能にばらつきのある種類とも言われている。エキスを抽出し、有効成分やαグリコシターゼ阻害値=IC50値などを測定している品質のものについては、効果が期待できる素晴らしい素材である。ただ、独特の臭みと強い苦味がある為、煎じて飲む場合は、何か香りの良いものと合わせる工夫が必要とされている。